◎ 上場株式等の譲渡及び 譲渡損失の繰越控除
(「みなし取得費の特例」)



” みなし取得費 ”で譲渡損益を計算する場合の注意点、譲渡損失の繰越控除とは?



◆ 株式等に係る譲渡所得の計算方法は・・・

収 入 金 額必 要 経 費
譲渡による収入金額実際の取得費譲渡のための
委託手数料
購入代価+購入手数料


この実際の取得費に対し


◆ 上場株式等の 「 取得費の特例 」 とは?


◎ 「 上場株式等を譲渡した場合の取得費の特例 」

  • 平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等を
  • 平成15年1月1日から平成22年12月31日までの間に譲渡した場合に
  • その上場株式等の「譲渡による収入金額」から控除する取得費について

      < 取得費の特例 >
    「平成13年10月1日における価額」の80%(みなし取得費
    とすることができる制度

    ☆みなし取得費を使用する場合は、購入手数料などを加算できません
    ☆みなし取得費は、実際の取得額がわかっている場合でも利用できます



  • ◆ 対象となる上場株式等

    平成13年9月以前に取得し、引き続き所有していること
    平成13年10月1日に上場株式等であること



    ◆ 「取得費の特例」 を適用する場合の注意点


    <T> 「取得費の特例」の適用がある株式を譲渡した場合、同一銘柄の上場株式等の全部について、この特例を適用する

    ⇒ ● 一部については実際の取得価額により、他の部分についてはこの特例
    を適用するという計算はできない



    <U> 同一銘柄の上場株式等のうちに、「取得費の特例」の適用があるものと、この適用がないものとが含まれる場合

    ⇒ ● 次の計算による
    (1)「取得費の特例」の適用がある株式等・・・この特例を適用する
    (2)「取得費の特例」の適用がない株式等・・・総平均法に準ずる方法
              (「取得費の特例」の適用がある部分も含めて計算)


    <V> 同一銘柄の上場株式等のうち、一部に取得価額等が不明な株式がある場合には、総平均法に準ずる方法による計算ができないので、

    ● このような場合に限って、次の方法により計算することができる
    (1)平成13年10月1日前取得分・・・「取得費の特例」による金額
    (2)平成13年10月1日以後取得分・・・平成13年10月1日以後取得分の取得価額だけに基づいて総平均法に準ずる方法により計算する

    (注)この場合、取得価額が不明な株式については、平成13年10月1日前
    に取得したものとする

    どの株式の売却かは、<先入先出法>(先に買ったものから順次売れたと仮定)による


  • 上記の具体的計算<例>(→)




  • ◆ 上場株式等に係る 「譲渡損失の繰越控除」 (控除期間 : 翌年以降3年間)


    《 申告要件 》  この特例は、次の場合に限り適用できます (宥恕規定なし)
    (措法 37の12の2)

     @ 上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき、譲渡損失の
       金額の計算に関する明細書などの添付がある確定申告書 (期限後申告を含
       む)を提出

     A その後において、連続して確定申告書を提出 (附表添付必要)

     B 繰越控除を受けようとする年分の確定申告書に、この繰越控除を受ける金額
       の計算に関する明細書その他財務省令で定める書類を添付




    ◆ 上場株式等の譲渡区分による適用関係

     上場株式等の
    取得費の特例
    株式等に係る
    譲渡益と通算(※)
    上場株式等に係る
    譲渡損失の繰越控除
    (3年間)
    上場株式等証券会社を通
    じた譲渡等
    適用あり適用あり適用あり
    相対取引など
    (上記以外)
    適用あり適用あり適用なし
    公募株式
    投資信託
    譲渡所得適用あり適用あり
    (※)株式等の売却損益であれば、未公開株式や相対取引で発生した売却損益とも通算可。
    平成16年から公募株式投資信託の譲渡損益とも通算可。




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    @ みなし取得費が使える株式で、みなし取得費を使う場合は、すべて「みなし取得費」
     A 実際の取得費を使用する場合は、すべてを総平均法に準ずる方法による金額ということで、
    「みなし取得費」 と 「実際の取得費」 とを混合した総平均法はダメということです。




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